[Novel]「ななつのこものがたり」

ななつのこものがたり
加納朋子のデビュー作「ななつのこ」で引用された架空の絵本「ななつのこ」を元にした絵本が登場。というわけで、小説「ななつのこ」の各篇で紹介されるの絵本「ななつのこ」部分を再読してから、気持を落ち着けて読む。


 途中の文章に、あれ、もしかして?と思っていたら、果たして最後に、あぁ、やっぱり、と微笑みがこぼれるような仕掛けが施されていた。「ななつのこものがたり」と、小説内で引用されている通りの「ななつのこ」というタイトルの絵本でないことを、ずっと不思議に思っていたんだけど、納得。


 そして、今頃になってこの絵本が出版されたことについても、深く納得したのだった。


 菊池健氏のイラストも非常に美麗で、しかも暖かい(ジュンク堂池袋店で原画展をやっていたが、非常に繊細な仕上げに驚いた)。表紙は文庫版「ななつのこ」と共通だが(そういえば、加納朋子作品に今や欠かせない菊池健氏のイラストはこの絵が最初では?)、今回の絵本版の方が、柔らかい色調で良い雰囲気のような。


 「ななつのこ」「魔法飛行」「スペース」と続いてきたあのシリーズが好きな人なら、これも大切な一冊となる筈。